フライパンの選び方(鉄フライパン編)
2009.12.25
前回の「フライパンの選び方 その1」では、フッ素樹脂加工のフライパンについてのポイントについてご紹介させていただきました。今回は、長持ちするフライパンについてをもう少し深堀してみようと思います。
「長持ちする」という点ではやっぱり、鉄のフライパンを一番におすすめいたします。
鉄ですから表面加工が劣化するわけでもなく、落として割れるわけでもなく、永く永くお付き合いできる道具です。
炒飯はパラリと、焼き物、炒め物の命はこんがり狐色にカリッと仕上がる、モヤシやセロリもシャキッと炒めあがる点が理想かと思います。
鉄のフライパンの中でも私のおすすめは、「リバーライト・極」シリーズ。
油のなじみが良く、たっぷりの熱を蓄え、食材に熱が力強く伝わります。
ただ、フッ素樹脂のフライパンに慣れた方ですと「錆(サビ)」や「アブラ」を気にされる方が、お店でも圧倒的に多いですね。一つ一つご説明していきますね。
「錆(さび)」について
「リバーライト・極」シリーズには、特殊熱処理「窒素含浸」という窒化処理が施されていて、極めて錆びにくい鉄フライパンとも呼ばれています。「窒化処理」は通常、航空機や車関連の部品に施される処理。調理道具でこの「窒化処理」をしているのは鉄フライパンのメーカーの中では「リバーライト・極」シリーズだけ。窒化加工されたフライパンの表面の強度は、何も加工処理されていない鉄フライパンと比較して5倍の表面強度があるそうです。
(ここ数年、他メーカーも窒化加工を施すようになってきましたが、パイオニアであるリバーライト極の品質が一番いいと感じています 2020.06)
また、「リバーライト・極」シリーズにはフライパン自体に窒化処理の防錆の加工が施されているので、通常の鉄フライパンで行う「使い始めは空焼きをして酸化皮膜をつくる」必要がないので気楽で助かります。
導入部分からして気楽で助かりますね。
毎日の調理の際には、使う前に「油ならし」をしていただくと、フライパン全体に均一に油がなじみ、熱ムラがなくフライパン全面で安定した焼き・炒めものが可能になります。
使用後にはフライパンがまだ温かいうちに「たわし」や「ささら」を使い流水で洗って自然乾燥でOK。空焚きをしたり油を塗布しておく手間が必要あません。
そして、鉄素材の調理道具の特徴である、調理する度に自然に鉄分が吸収できる点も嬉しいポイントです。
「アブラ」について
鉄フライパンは窒化処理されていようといまいと、調理前には油ならしが必要です。
このため、油の取りすぎに繋がるのでは?という心配をされる方が多いのも事実です。ですが、 アブラには「油」と「脂」があります。物事をうまくすすめるためには「潤滑油」が必要なのと同様、人間の体にも健康を維持するためある程度の「油」が必要であり、緑黄色野菜の栄養をうまく摂取するためにも「油」は必要です。
ぜひ、油ならしの際の油は、植物油をご使用ください。
必要な油量で美味しく仕上げることができますよ。 健康のため、アブラを気にされる方は「脂」の摂取を気にしていただければ良いのではないでしょうか。
「火加減」について
油ならしをきちんとできても、火加減が強すぎるとかならず焦げ付き、こびりつきが発生します。必ず火加減に留意してご使用ください。
フライパン調理の正しい調理温度は170度〜180度です。
180度にするための予熱の目安としてはフライパンをコンロにおいて、中火で約1分で180度前後の適温になります。
火加減を間違えて強火で熱すると1分以内でフライパンの表面温度は200度を超えてしまいますので充分に火加減はご注意ください。
その他のフライパンについて
鉄のフライパン以外では、アルミの地肌モノやチタン製のフライパンがあります。
これはあくまで私見ではありますが、アルミ地肌のフライパンとチタンのフライパンは相当な“慣れ”がないと使いにくいと感じます。アルミ地肌のフライパンは熱伝導はいいのですが油なじみがよくないので、調理素材がくっつきやすいです。イタリアンのシェフなどがパスタソースとパスタを絡めるときに使っているようにある程度の水分がある調理法には向いています。
また、チタンのフライパンについては“軽い”というフライパンを振る上での最大のメリットがありますが、熱伝導がわるく局所加熱となるのでこれまたくっつきやすく、焼きムラが出やすいという特徴もあります。
使う方の用途や調理の視点によって調理道具の選び方は様々。
是非、それぞれのニーズに最適な商品をお選びくださいませ。
テキスト:山本 潤美